猿ト踊ル

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【映画レビュー】ウィズアウト・リモース

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所感

Amazonオリジナル映画として公開された軍事スリラー『ウィズアウト・リモース』。
原作は、同じくAmazonオリジナルドラマの『ジャック・ライアン』シリーズの生みの親として知られるトム・クランシーの『容赦なく』だ。

まぁ……正直、平凡な映画だった。

トム・クランシーといえば、軍事・諜報活動を用いたスリラー作品が主だ。
ミッションに裏があるのはいつものことだし上層部に黒幕がいるのもいつものこと。
なので、真実が明らかになるまでの道程をどうドラマチックに描くかが監督の腕の見せどころなのだが、本作の監督であるステファノ・ソリマでは少し力不足だったのだろう。
主役のマイケル・B・ジョーダンの演技は素晴らしいだけに残念に思う。

これはトム・クランシー作品をいくつか見ている(ゲームを遊んでいるでもいい)人なら共感を得られると思うが、どうにも彼はアメリカが好きすぎるのか作中に「愛国者」を出したがる傾向にあり、本作でも「国のために」というセリフが何度か出てくる。
それ自体はそこまで悪くないのだが、本作のキャラクターたちの持っている愛国心は少し古臭いというか、「国のために必要だから他国の人バンバン殺しちゃうよ」というテロリストと同等の過激な思想を持つ者が当たり前のように出てくる。
原作が刊行された1990年代ならいざしらず、2021年の今この時代にそういったキャラクター像は古臭く感じるしあまり褒められたものではないだろう。
いまさら第二次世界大戦の話を持ち出されても、こすりつくされた設定にはもう飽き飽きなのだ。

ストーリーは落第点だが、アクションシーンはクオリティが高い。
主人公はあくまで周りより少し優秀なだけのタフガイなので、ランボーのように大立ち回りを演じるということはなく、ジリジリと追い詰められるのをどうにかして切り抜けていくのだが、ギリギリまで粘って瀕死のところを味方が見つけて助けてもらうことが多い。

銃撃戦はどれも手に汗握るもので、リアルな(実際に体験したことないのでこの表現が正しいかはわからないが)緊張感にヒリヒリさせられる。
とくに終盤の対物ライフルに囲まれてからの展開は素晴らしかった。

脚本の出来の悪さを、役者の演技とアクションシーンで補っている本作。
GWに楽しみに観る映画としては少し弱いが、何本も映画を観る予定であればラインナップに加えるのはアリだ。
また、ドラマの『ジャック・ライアン』とも関わりがあるので、そちらが好きな人にもいいだろう。

Amazonはジャック・ライアンユニバースを広げるつもりなのか、特殊部隊「レインボー」(ゲーマーならシージでおなじみのアレ)に関しても触れていたので、もしかしたら続編かスピンオフが出るかもしれない。 どうなるかは本作の評価次第だと思うが、Rotten TomatoesやAmazonでのレビューを見る限りは少し厳しいのかもしれない。

予告動画

youtu.be

評価

点数(10点満点):6(それなりに楽しめる)

概要

視聴はこちらから:
Amazonプライム・ビデオ

公開年:2021年