【アニメレビュー】アクダマドライブ
所感
原案・小高和剛、キャラクターデザイン・小松崎類と『ダンガンロンパ』シリーズタッグによるクライムアクションアニメ。
キャラ、世界観ともにあくが強く、小高氏に求められているものがしっかりと描かれていると思う。
ただ、だからこそ既視感のある場面が目立つのも特徴的だ。というのもダンガンロンパではパロディ(つまり他作品からの流用)が多く、本作も同じような演出があるのだが、それがダンガンロンパのようにネタとしてのパロディではなく、分かる人には分かる程度のオマージュとして描かれている。
パロディやオマージュの線引きは難しいのだが、本作はダンガンロンパよりはシリアス寄りの作品のため、オマージュとして捉えられにくい部分もあるように思えた。
例えば、9話の殺人鬼が標的を追い詰めるシーンは映画『シャイニング』そのままだ。カンサイの街並みの見せ方も、『ブレードランナー』を彷彿とさせる。
セルフオマージュもあり、『ダンガンロンパ』にあった「超高校級の◯◯」は、本作では「超S級アクダマの◯◯」といった形で出てくる。
このように要所要所でどこかで見聞きしたものが出てくるのだが、そのオマージュ感が少し強く、そのせいで序盤に記した通り「既視感のある場面が目立つ」ようになってしまっている。小高氏特有のあくの強さを押し出している作品なだけに、少しもったいないようにも感じた。(これも小高氏の売りと言ってしまえばそれまでだが)
シリーズ全体を通して起承転結がありつつ、1話毎にもしっかりと起承転結の流れがあり、それでいてテンポ良く進むのは素晴らしい。
1話で主要キャラ8人(正確には7人と1匹)を惜しみなく一気に出し、そこから失速することなく彼らの魅力を描ききっている。
主役たちは悪人ということもあり、途中でリタイアするキャラも出てくるのだが、物語に起伏をつけるために出し惜しみせず使い切るところが良かった。
6話は折返しということもあってか特に力が入っているように見え、善と悪、生と死の対立が上手く描かれていた。
スポットライトを浴びた二人が、スタッフロールで最初に出てくる演出も憎い。個人的にとてもお気に入りの回だ。
久しぶりに円盤を揃えて置いておきたいと思った作品。
円盤では最終回が約5分の未公開シーンが追加された完全版になるとのことで、非常に楽しみである。
まあ、正直、全12話なのに円盤は全6巻というのは高いなと思うけれども……。
せめて全4巻にしてほしかったなぁ……。
予告動画
評価
点数(10点満点):9(観るべき)
概要
視聴はこちらから:
・FOD
・Amazonプライム・ビデオ
公開年:2020年